テレコム業界向けのシステムは、OSS(Operation Support System)と呼ばれる電話やブロードバンドなどのテレコムの各種サービスを提供するためにネットワークを運営するのに必要なシステムやBSS(Business Support System)と呼ばれるビジネス寄りの受注や課金といった機能のシステムで構成されています。
また、テレコムのネットワークは物理的なネットワークを構成するNE(Network Element)と呼ばれる交換機や伝送装置とそれらを管理するEMS(Element Management System)と呼ばれるレイヤー、さらに、その上位で回線などのエンドとエンドを構成するNMS(Network Management System)のレイヤーがあります。また、IP電話やビデオ、ブロードバンドによるデータサービスなどのサービスを管理するためにSMS(Service Management System)のレイヤーがあります。つまり、物理的なネットワークから上位レイヤーへ向けて抽象化度を上げながらシステムを構成し、マーケットへテレコムのサービスを提供していくのが、全体の構図です。
NEについても、いろいろなベンダーがいろいろな装置を提供しますし、その上で作られるEMSやNMSも各社が独自に開発すればそれぞれがまったく異なる考え方に基づいていたりします。さらに、パッケージ製品として、たとえば、NEをベースとするネットワーク上のリソースを管理するインベントリ・システム(ネットワーク要素の在庫管理)やネットワーク上の障害の情報を収集して分析する障害監視システムなどの機能をもつ製品は、それぞれに独自のデータベース構造で設計されています。
これらの異機種混合の複雑なシステムをインテグレーションしなければ効率の高いサービスは構築することができません。さらに、このインテグレーションした基盤の上に、新しいサービスを提供するための機能を迅速に開発し、運用しなければなりません。これは、まさに、SOAが目指すシステムの在り様です。しかし、これだけ、多くのソリューション・プロバイダーが密接に絡む場合には標準化が絶対的に必要です。テレコムではNEをはじめ、古くから標準化が進められており、OSSのインテグレーションでもCORBAを大々的に利用していきました。
システム・インテグレーションの標準ひとつがTMF(Telemanagement Forum)が規定して、最近、ITU-TへサブミットされたMTNM(Multi-Technology Network Management)と呼ばれるTMF814ドキュメントを中心としたインタフェースです。このインタフェースは、NMSのレイヤーで適用されるCORBAベースのインタフェースになります。一方、商用パッケージ製品のように、すでに、システムと完成しているOS(Operations System)を連携するには、MTNMはFine Grainすぎます。より抽象化された疎結合のインタフェースが必要となります。これに対して登場するのがMTOSI(Multi-Technology Operations System Interface)です。MTOSIはWebサービス(SOAP)をベースとしたインタフェースを規定しています。
MTOSIは、その考え方と実装ともにSOAに基づいていると言えます。インタフェースとしてサービスを規定し、Webサービスの疎結合のインタフェースで実装することで、従来は難しいとされたOS間の連携を現在から将来へかけて効率化していくものとなります。
アイオナでは、TMFのCatalystの活動の中でMTOSIへの適用を実証しており、商用でも、適用事例があります。また、アイオナのArtixはCORBAをネイティブに連携しますので、テレコムのシステムの中でもっとも広まっていると言われているMTNMを完全にサポートし、さらに、MTOSIによるインテグレーションにシームレスに展開することができます。さらに、これらのインテグレーションを実践するデモシステムとして、MTOSI Tool KitとIONA Microsoft Telecom Tool Kitを公開しています。
江川