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2006年10月 Archives

2006年10月02日

SOAをたとえて言うと?-SOAでないもの?

ヘッドラインを見ていたらIBMのSOAポータルに「SOAをたとえて言うと、SOAの類似、SOAをなじみの表現で」というPDFファイルがありました。ゴルフのクラブ、洋服ダンス、サッカーチームの戦略、コンポーネントステレオなどの組み合わせに関する示唆です。内容についてコメントは避けておきます。(いろいろな表現の仕方があるものだと感心したことは確かです。)

SOAを何とか理解するために、いろいろな説明をしなければならないのですが、一貫性ということも重要なポイントではないかと思います。SOAのたとえとは観点も言い方も違いますが、「What SOA isn't ?(SOAでないもの?)」というタイトルで、2004年の夏ごろ(だったと思います)にアイオナのSteve Vinoskiが表現した言い方があります。「SOAをたとえて…」を見て思い出したのでご紹介します。


What SOA isn't

Summon Our Architecture : SOAは貧弱な設計のシステムを魔法を使って簡単に生き返らせるようなものではない。

State Of the Art : SOAはなにも目新しい考え方ではない。ただ、今のサービス指向はメッセージングに焦点を当てていることが重要である。

Same On All, or Scrap Old Applications : SOAはこれまでの独自開発のシステムをなんでも連携しなければならないということではない。しかし、企業の中の異機種混合状態の改善をサポートする。

Services On Appservers : サービスはメッセージを中心に考えるべきものであり、実装方法やバックエンドの構築の議論からはじめるべきではない。

SOAP-Only Applications : SOAPはサービス指向を促進してきたし、中心的な技術にはなっているが、さらに、WSDLはマルチ・プロトコル上のサービスの抽象化を定義できる。これによってレガシーシステムと連携が可能となる。

Stateless and Only Asynchronous : ステートレスな非同期サービスのスケーラビリティは期待できるが、ステートフルな同期サービスも多くのケースで必要となる。

Standards Of Age : サービス指向の標準化は進んでいないが、幸いにもWS-* に関わるベンダはたくさんいる。

Service-Oriented Architecture : 厳密に言えば、そこにはアーキテクチャは存在しない。いわば、サービス指向アプローチである。


最後の一行は皮肉がだいぶ入っていますが、示唆に富んだ表現と思います。SOAについてはビジネスとITの融合という観点もあり、Vinoskiの言うSOAは、SOAを支える基盤に焦点を当てています。これがSOAだと言っていないところが、2年前の苦しい状況を表していると思います。「これがSOAだ!」は今後明らかにしていきたいと思います;-)

江川

標準化と規格化 - HDTVの標準

独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)が主催する「第2回 国際標準化活動 若手交流会 講演会」を拝聴してきました。国際標準の活動の中でベテランから若手にスキルを伝授するというのが目的の会合なのですが、標準化活動には直接関係のない私も訳あって参加しました。標準化について非常に興味深いお話をうかがったので書かせていただきたいと思います。

NHKアイテックの熊田純二氏は、1964年からHDTV(ハイビジョンTV)の標準化に従事されてきており、その歴史を講演されました。テレビの画面のサイズは、1953年の12インチから10年から15年で倍の大きさになってきたそうで、1990年には29インチになっています。従来からのテレビはNTSC方式と言って、525本の走査線で構成されていますが、1990年の画面のサイズでは、走査線上の粒子が直接見えて、放送の内容が見難くなる限界となるそうです。実際は、各ベンダーが、いろいろな努力をして、実用上の問題をクリアしてきたのですが、技術上の限界は明らかにあります。その限界を克服してメディア産業を発展させるためにHDTVの開発がNHKで始まりました。

当初は、HDTVに関心のなかった欧米も次第に、その将来性やメディア産業での重要性を理解し(その背景には映画監督のフランシス・コッポラ監督の影響が強かったそうです。)、国際的な標準化の活動が始まりました。日本は、従来の異なる標準のどれもそのまま前提としない中庸の妥当な標準として、1125本の走査線を提案しましたが、1985年から90年にかけて、ハードは日本、ソフトはハリウッドに独占されることを恐れた欧州が、1250本の対抗案を出してきました。一方、米国も同時期に自国方式を主張してきました。結局、日本の提案どおりに1125本の走査線の標準が確立したのが、1999年であり、HDTVの開発開始から30年かかっていました。

標準化についての国家間の戦争が15年余り続いたことになります。つまり、標準化の努力の基準のひとつは自国の利益であり、所属する組織の利益であるわけです。ソフトウェアの標準化でも同様のことが言えます。ただし、ソフトウェアは米国中心であり、国の争いというよりは企業の争いになっています。たとえば、CORBAを標準化しようとしたときにマイクロソフトはDCOMを独自に開発してCORBAには参加せず、CORBAが市場に出てきた後も、Javaによるアプリケーション・サーバというビジネスに目が向いたベンダーはCORBAを中核には据えませんでした。最近はオープンソースでリファレンス・インプリメンテーションを作って標準化するという方法がとられているので、事情は少し違いますが、標準化は何のために行うのかという自問は常に必要でしょう。

もうひとつは、講演の中で、同じスタンダードでも「規格化」と「標準化」は違うというお話がありました。なるほどと思いましたが、ソフトウェアの標準で規格という考え方に出会ったことがありませんでした。規格というのは、コンセントの形状のようにインフラを利用する上で守らなければならない決まりで、規格に従って製品を製造します。一方、標準化は、強制力の弱い、皆で使うものという意味のスタンダードで画像の評価の方法などを指すということです。そういう意味では、ソフトウェアでは、規格が存在しない換わりにデファクト・スタンダードというものがあります。しかし、デファクト・スタンダードは特定のベンダーの製品であったり、特定のテクノロジーに偏っていたりましますので、すべての関係者がインフラを自由に使えるような規格とは本質的に異なるもののはずです。

江川

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2006年10月05日

TMF Webinar: Accelate Service Delivery using the TMF MTOSI standards

テレコムのSOA標準と称してMTOSI(Multi-Technologies Operations System Interface)をご紹介しましたがTMF(Telemanagement Forum)のWebniarが9月28日に行われました。アイオナでもWebainarとか、Webcastと称してオンラインのセミナーを行いますが、今回はTMFが主催して、アイオナ、BTとTMFのMTOSIプロジェクトからの3名のプレゼンターによるもので、登録者は400名を越えて、実際の参加者も140名を超えるものでした。

非常に活発なQ&Aがあり、関心の高さが伺えました。参加者はベンダーが目立ちましたが、残念ながら日本から参加された方はいっらしゃいませんでした。Webinarのアーカイブを聞けるはずですので、TMFのサイトに登録していただく必要はありますが、プレゼンのスライドや録音を参照されたい方は、こちらをご参照ください。

江川

2006年10月12日

Artix 4.1 リリース - 着実に成長すること

Artix 4.1をリリースしました。今年の4月に発表したAmberPointとの連携の実装が進んで実際に利用できるようになったことが一番大きなトピックですが、従来予定していたエンハンスを施してきたことになります。少々、他と比べると対応が遅かったのですが、SOAP 1.2をサポートしましたのでインタオペラビリティーを確保しています。ESBの中に組み込んだBPELエンジンであるArtix Orchestrationでサービスをくみ上げますが、このArtix Orchestrationと従来からあるArtixのQoSの機能を連携することによって、本来のBPELエンジンによるコンポジットサービスの実現が可能となります。

業界に買収風が吹き荒れる中では、地味な発表ですが、インフラを提供するベンダーとして、確実に製品を組み上げていくことは非常に重要なことと考えています。

江川

2006年10月20日

Toward Intergation - Enterprise Integration with Ruby

アイオナの本社にSteve Vinoskiというプリンシパル・エンジニアというような肩書きの人がいて、昔からIEEE Computing(IEEEの情報誌)にコラムを書いています。彼は、Michi Henningといっしょに名著と言われる”Advanced CORBA Programming with C++”を書いた人です。彼のコラムを翻訳してThinkITに掲載していますが、今回は、Maik Schmidtの書いた”Enterprise Integration with Ruby”の評価を5月にIEEE Computingに掲載したものを翻訳しました。

Rubyは、流行ではありますが、Steveはインテグレーションについてはかなりの経験がありますので、多少、含蓄ある内容っとなっています。ご関心のある方はご覧いただければ幸いです。ThinkITの記事はこちらです。なお、原文はこちらです。

江川

2006年10月23日

SOAバブルの必要性(2)

IONA MOTIONというメルマガを出しているのですが、今年の7月に「SOAバブルが必要」というようなことを書きました。SIerも含めて業界の中に、SOAに興味はあるけど懐疑的であると思われているような印象がどうしてもぬぐえなかったので、乱暴ではありますが、ある程度、盲目的にSOAにアプローチするようなSOAバブルが必要ではないかということを書きました。ITバブルの崩壊の後、その結果として新たなイノベーションの可能性は見え隠れするようにはなってきたし、株価もそれを反映しているわけですから、これはバブルの賜物ではないかと思ったからです。

少し前になりますが、ITコーディネータ協会のセミナーで経済学者の伊藤元重氏の「日本経済とIT経営」という講演を聴きました。氏はテレビのニュース番組にも出演されるような有名な方ですが、この講演の前半の中にバブルのお話があり興味深く拝聴しました。

PER(Price Earnings Ratio)は株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する際に利用される尺度であり、”PER=株価/一株あたりの利益”で計算されます。つまり、株価が高くなれば値は大きくなり、収益が落ちても値は大きくなります。これが、バブルを表す指標といえます。アメリカの株式市場のPERの推移の中で2回のピークがあります。1回目が1929年の世界大恐慌の直前のバブルで自動車バブルと呼ばれたそうです。一世帯に一台の車が利用されて自動車が社内を変えるという期待があったのでしょう。

2回目が、2001年のITバブルです。自動車バブルよりこちらのピークの方が高くなっています。収益の実績もないのに株価ばかりが高騰したときです。ITバブルの崩壊後、ITのイノベーションは着実に進んでいるのかもしれません。その中にあるのがSOAではないかと思うのですが。

人々がイノベーションを期待してバブルが発生します。産業革命後に真のイノベーションを生んだのは鉄道であると言われています。19世紀には鉄道バブルがあり、20世紀のはじめには放送が社会を変えると期待した放送バブルがあったそうです。そして、自動車バブルとITバブルです。バブルの際には、その後のイノベーションの素になる投資が行われたことになるのですが、バブル崩壊後にイノベーションの結果が見えてくるには時間がかかりました。

SOAはサービス化した資産を継続的に利用するアプローチであり、求めるべき究極の結果が現れるまでに時間がかかります。ビジネスの変化に強い、生産性の高い基盤が充実するときに、その上でイノベーションが起きると考えています。つまり、この結果を導くには、歴史的にSOAバブルが必要なのです。

伊藤元重氏のお話の内容は、こんなところにありましたので、ご参照ください。

江川

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