今年の9月に「ユーザはITプロフェッショナルであるべきか」というベンダーのブログでは、書いてはいけないようなことを書きました。実際はヨーロッパのある企業のIT部門の構成を理解していただきたかったのですが、当然、ユーザがITのプロとはどういうことかと、違う見方もあると思います。
ITproの経営とIT新潮流2006というサイトの真髄を語るというコーナーの中でJTBのシステムを見られてきた佐藤正史 氏が「経営者がITを理解できない本当の理由」という文章を寄稿されています。氏のご経験が素直に表現されているいい文章です。
ITのROIがはっきりとした形で見えないために経営者が、ITに懐疑的になることは、経営者がITを理解していないということと違うというお話しから始まっています。その中で、ITベンダーのプロフェショナリズムに言及されています。ユーザが要件をきちんと定義できないのは、ユーザの問題ではあるけれども、プロジェクトマネージャやSEの中には、そんなユーザの要件をうまく引き出してくれる優秀な人がいる。実際に、そのような優秀な人がいる以上、ITベンダーの人間もユーザの問題として逃げずに、きちんと責任をとれることが必要であるということです。さらに、プロであるのに、十分なスキルを身に着けていないことも明らかであると厳しいお言葉でした。
確かにユーザはITベンダーの仕事にお金を払うし、ITベンダーは、ユーザからお金をいただける仕事をしなければなりません。優秀な人間が、そうそういるわけではないという言い訳も確かですが、プロである以上は、気持ちよくお金を払っていただけるようにすることは、基本的なことだと言えます。ベンダーが、こんなことを書くとベンダー側で問題になる可能性もなきにしもあらずですが、これは避けられないことです。
しかし、ユーザがITのプロでなくてもいいということではないと思います。たとえば、あるOSのバグでシステムが停止して、ビジネス上の損害が出たとするとユーザ側が、OSのバグの内容なんかは理解できないと避けてしまっては、問題は解決しないし、いつまで経っても同じことを繰り返すことになります。ユーザが理解できるようにベンダーが誘導することは絶対に必要ですが、ユーザが最初から諦めてしまったらそんな努力も意味はないのです。
ITシステムは、1ビット間違っただけで障害となります。そのことをユーザは理解しなければなりません。システムが、ハードウェア、OS、ミドルウェア、パッケージなどのあるアーキテクチャを基に構成されていることと、そのようなアーキテクチャの必要性は理解していただかないとシステムのライフサイクルを正しく回すことはできません。ミドルウェアはお金がかかるばかりで本当に必要かどうかわからないということではなく、必要性を理解していただきたいのです。
一般に自分でできることにお金は払いません。ユーザではできないこと、不可能なことにお金を払うのです。ベンダーが不可能なことを実現できなければユーザはお金を払いたいとは思わないのです。ユーザがITのプロとなればベンダーはそれ以上のスキルと経験によって、さらに高い価値を生み出さなければならないことになり、より厳しくなっていきます。常に学習しながら向上させていくためにもベンダーのプロフェッショナリズムは重要です。
江川
