今年、富士通さんが、SOA基盤のミドルウェアとしてInterstageでESBを発表されたときに、「もの・こと分析」によるSOAの構築のコンサルテーションを提唱されていました。物事の本質を見極めるという興味深い考え方ですが、12月22日(金)に同じく富士通さんの「10年使える業務アプリケーション基盤」というセミナーがあったので、関連するかと思い参加しました。しかし、こちらは製品のバージョンの上位互換を保ったアプリケーションの移行に関する違うものでした。
もの・こと分析をよくお話しになっていたのはKDDIのCIOの繁野氏ですが、概念モデルの構築というなかなか難しいお話です。もの・こと分析を提唱されている中村善太郎氏の著書で「もの・こと分析で成功するシンプルな仕事の構想法」(日刊工業新聞社)には少し具体的な例があります。私は分かりやすかったのは、トイレットペーパーの交換に例です。
ロール紙をペーパーホルダーに入れ替えるには、ペーパーホルダを外して、古いロール紙の芯を取り除いて、新しいロール紙をペーパーホルダに取り付けます。ペーパーホルダに芯を合わせなければなりません。

これが、もの・こと分析で、本質を考えた場合は、ペーパーホルダが、支えの部分が前後に動く形でロール紙を確保するもので、ロール紙の入れ替えは2アクションで済むことになります。

言い換えれば物事の本質は限られた部分にあり、その本質を有効に利用することで、現実的で、著しい効果があるということを言っていると思っています。これが、SOAの考え方にも反映できます。たとえば、ヨーロッパの金融サービス会社のCredit Suisseでは、SOA1.0 とも呼ばれるCORBAによるSOA基盤を構築していますが、コングロマリットである同社のM&Aに際して、勘定系などの基幹システムを統合するためにSOAを適用しています。
イメージ的にはCORBAのバスを境に、下層に基幹DBとして変化の少ないレガシーなメインフレームを統合して配置し、上層はJ2EEなどの新しくてオープンな技術で、オンラインバンキングなどのビジネス価値を追求するような変化の大きなシステム群を時間をかけずに構築していることがわかります。
つまり、ESBを境に下層を変化の少ないもの、上層を変化の大きいものとして、下層の機能をサービス化し、上層で利用するという2層化したシステム構築とも考えられます。マルチチャネルなども同様です。下層にコンテンツがあるとサービスを介して、携帯、PC、インターネット、B2B、パートナリングなどの多様なチャネルに対応できるような構造を作ることができます。

SOAはレイヤ化のアーキテクチャに親和性があります。ESBを境にして、レイヤを2つに分けるという発想はシステムを設計する上で共通に配慮すべきことかもしれません。
江川
