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IT全般 Archives

2006年11月09日

ITベンダーのプロフェッショナリズム

今年の9月に「ユーザはITプロフェッショナルであるべきか」というベンダーのブログでは、書いてはいけないようなことを書きました。実際はヨーロッパのある企業のIT部門の構成を理解していただきたかったのですが、当然、ユーザがITのプロとはどういうことかと、違う見方もあると思います。

ITproの経営とIT新潮流2006というサイトの真髄を語るというコーナーの中でJTBのシステムを見られてきた佐藤正史 氏が「経営者がITを理解できない本当の理由」という文章を寄稿されています。氏のご経験が素直に表現されているいい文章です。

ITのROIがはっきりとした形で見えないために経営者が、ITに懐疑的になることは、経営者がITを理解していないということと違うというお話しから始まっています。その中で、ITベンダーのプロフェショナリズムに言及されています。ユーザが要件をきちんと定義できないのは、ユーザの問題ではあるけれども、プロジェクトマネージャやSEの中には、そんなユーザの要件をうまく引き出してくれる優秀な人がいる。実際に、そのような優秀な人がいる以上、ITベンダーの人間もユーザの問題として逃げずに、きちんと責任をとれることが必要であるということです。さらに、プロであるのに、十分なスキルを身に着けていないことも明らかであると厳しいお言葉でした。

確かにユーザはITベンダーの仕事にお金を払うし、ITベンダーは、ユーザからお金をいただける仕事をしなければなりません。優秀な人間が、そうそういるわけではないという言い訳も確かですが、プロである以上は、気持ちよくお金を払っていただけるようにすることは、基本的なことだと言えます。ベンダーが、こんなことを書くとベンダー側で問題になる可能性もなきにしもあらずですが、これは避けられないことです。

しかし、ユーザがITのプロでなくてもいいということではないと思います。たとえば、あるOSのバグでシステムが停止して、ビジネス上の損害が出たとするとユーザ側が、OSのバグの内容なんかは理解できないと避けてしまっては、問題は解決しないし、いつまで経っても同じことを繰り返すことになります。ユーザが理解できるようにベンダーが誘導することは絶対に必要ですが、ユーザが最初から諦めてしまったらそんな努力も意味はないのです。

ITシステムは、1ビット間違っただけで障害となります。そのことをユーザは理解しなければなりません。システムが、ハードウェア、OS、ミドルウェア、パッケージなどのあるアーキテクチャを基に構成されていることと、そのようなアーキテクチャの必要性は理解していただかないとシステムのライフサイクルを正しく回すことはできません。ミドルウェアはお金がかかるばかりで本当に必要かどうかわからないということではなく、必要性を理解していただきたいのです。

一般に自分でできることにお金は払いません。ユーザではできないこと、不可能なことにお金を払うのです。ベンダーが不可能なことを実現できなければユーザはお金を払いたいとは思わないのです。ユーザがITのプロとなればベンダーはそれ以上のスキルと経験によって、さらに高い価値を生み出さなければならないことになり、より厳しくなっていきます。常に学習しながら向上させていくためにもベンダーのプロフェッショナリズムは重要です。

江川

2007年08月24日

テクノロジーも格差の時代

Javaテクノロジーに関する話題として、IDGのITアーキテクトサミット 2007 Summerのセッションの中で出してしまったのですが、ArtixはVersion5をリリースして、Javaインタフェースの作り方が大幅に変わりました。

Artixは、C++をベースに製造されており、JavaのAPIからC++で作られたコアの機能を利用することになります。以前であればJava自体が重くて遅いので、このJavaとC++の間のオーバヘッドも気にならなかったのですが、Javaのコンパイラの技術やCPU自体が向上することでJavaの性能が上がってきて、オーバヘッドが目立つようになってきました。

以下の図にあるようにArtix5_jaxwsは、Artix5であらたにCXFをベースにして、JAX_WS(JSR224)でのアノテーションを利用したAPIに替わったのですが、その変化のひとつの要因が性能です。下図のArix5_JNIは従来のJava APIであるJAX_RPC(JSR101)をサポートし、HTTPやSOAPなどのエンジンはC++側の機能を呼び出すためにJNI(Java Native Interface)を経由して実現しているものです。

ご覧のように性能上の違いは明らかであり、PureなJavaで実現するようにJAX_WSへ移行したものです。もちろん、従来のJAX_RPCのAPIも互換性を提供するために残りますが、コアの製造が、JavaとC++に分かれていくことは明らかになったことになります。

java_cpp_jni.gif

これは”テクノロジーの格差”を意味しています。以前のエントリにあるようにJavaのテクノロジーは決してSOAインフラを構築するにも適した技術ではないにも関わらずアプリケーション開発のプラットフォームとして広まってきたというだけでマジョリティとなり、そこにメガベンダーの思惑が重なってJava技術へ偏重していると思います。

JVMの上と外とでは世界がまったく異なってしまいます。JVMの上ではネイティブなC++のWebサービスさえも提供できないのです。このテクノロジーの格差をなんとか平準化する必要があります。Artix5は従来のC++で構築したアーキテクチャを踏襲してJavaによるコンテナを同時に実現することで利用者に対しては正しいインフラの姿を提供することができる製品です。

2007年08月30日

SUN25周年とUNIX

サンマイクロシステムズのホームページを眺めていたら今年は会社が誕生して25周年ということでCEOをはじめとして3名のマネージメントのビデオが見ることができました。私もIT業界に入って(昔はIT業界とは言いませんでしたが)、28年目ですからちょうどサンマイクロシステムズの軌跡と重複するところがあるように思ってながらビデオを聞いていました。

最初はメインフレームでしたのでUNIXに関わりはじめたのが、20年くらい前ですが、本格的にUNIXを売る立場になったのが、DECでDIGITAL UNIXを扱ったときからでした。AlphaというCPUもDIGITAL UNIXも後発であったためになかなか悩ましいセールス活動でしたが、ベンダー各社のUNIXの勢力争いの中で統一UNIX仕様とか、茶番に似た活動があったことが思い出されます。

これからOSが大きく変化して革新的な機能を提供するようなこともないのでしょうから機能を求めるのではなく、いわば”サービス”を追及することが重要なのではないでしょうか。ただ、一挙にサービスを実現することが難しく、様々な条件やリソースが整った上で実現できるものでしょう。そのための地道な努力が必要だと思いますが、そのためにも必要なのが、市場の認知です。

市場が有効であると認識しなければ”サービス”は市場に出ないわけですからエンドユーザに何を理解していただけるのかは本当に大きな課題です。エンドユーザによって、それはすべて異なるでしょうし、深さも、サービスの内容もアプローチも違うでしょう。

でも、サンマイクロシステムズのホームページのビデオでは参加に開発者に感謝するということを表明していました。そうではなくてエンドユーザに感謝できるような接点が必要なのではないかととのとき感じた次第です。弊社のようなミドルウェアを提供している場合でも大変難しい課題ではあると思いますが、常に学ぶ気持ちを持ってお客様のお話が聞けたら何かいいことができるように思います。

2007年09月16日

Center Of Excellence

COE(Center Of Excellence)はインド系のインテグレータなどで聞く部門の名前です。各社が出しているソフトウェア製品のノウハウを集めた部門で数千人の要員がいる場合は多いです。場所はインドのバンガロールであったりますが、グローバルな製品であればあらゆる製品に対応できる可能性を持っています。実際にはポリティカルな関係から製品を選択することもあるかと思いますが、彼らの強みは、COEを背景として、ユーザにソフトウェアベンダーの製品から独立していることを納得させられることです。

日本のインテグレータは数千人におよぶ製品担当者を擁することはできません。ある製品のスキルを身につけるために若い担当者を割り当てたとしても、その担当者のコストと本来あるべき売り上げは付いて回るわけで、担当する製品の売り上げでそれらを達成しなければなりません。そのために、インド系のインテグレータのように何でも製品に対応できるということにはなりません。

ユーザによってはCOEをもつようなインテグレータに製品選択のコンサルティングを依頼することがあるようです。純粋に製品を比較検討するというモチベーションから出てくる依頼であると思いますが、実際の製品選択は製品そのものの比較だけで決められるわけではなく、SIerを選択して、SIerが扱う製品をそのまま導入してしまうというのが、傾向として目立つのではないかと思います。

資本主義の行く末として仕方がないかと思いますが、各業界では大規模は統合が行われています。ソフトウェア、特に、ミドルウェアを提供するベンダーの数も大幅に減っており、製品の選択の意味自体が変わってきてしまうのではないかと危惧します。

イノベーションは、結果として「小」が「大」を食うことで象徴的に扱われてきましたが、今は、「小」が「大」を食う前に「巨大」に食われてしまうことが当たり前になりました。このことが、イノベーションを生むために良い方向になるのか、あるいは、そうではないのか、意見は分かれると思いますが、本質的には豊かな社会は多様な社会であるので淘汰によって選択肢が減ることは、豊かな社会へは向かっていないことになると思います。

そのような中でCOEのような存在は重要な意味をもつものではないしょうか。

2007年10月16日

グリーンIT

ガートナが発表した「戦略的テクノロジー」のトップに「グリーンIT」が挙げられました。テクノロジーが引き起こした地球温暖化問題をテクノロジーで制するという共通の意識が育ちつつあるのでしょうか。地球温暖化問題が地球上に紛争や格差を生じさせることは必至であり、政治やビジネスに大きな影響を及ぼすのでテクノロジーだけの問題ではないのですが、テクノロジーが貢献できる程度は非常に大きいと思います。

ITも同様に、以前のエントリで紹介したようなコンピュータのハードウェアの消費電力のセーブのテクノロジーだけでなく、ITテクノロジーが二酸化炭素の排出を制御するシステムを実現することでも貢献できます。エンタプライズだけでなく組み込みソフトの中には関連するシステムが少なからず開発されていくはずです。

これらのシステムは当然ソフトウェアで作られているわけですが、ソフトウェア自身の有り様も貢献することが必要でしょう。ハードウェアが急減な進歩を遂げたおかげソフトウェアも様々な創意工夫を実現できたのですが、CPUもメモリもジャバジャバ使えるということで進んできたシステム開発のイノベーションへの対応の仕方を変えなければならないと思います。それが今すぐ起きるのかどうかはわかりませんが、無駄なリソースを必要以上に消費することには変わりはないからです。

経済原理から言えば、そんな細かいことは気にしないで早く安く作ることが求められるのでしょうが、この地球規模の危機は、そのような概念を覆す必要があります。当然、科学的に証明された方法をとる必要があるわけで、具体的な方策がどうなるかはわかりませんが、同じことを実現するのに最小限のリソースで実現することが求められるということになるはずです。

マイクロソフトとインテルが、少しでもソフトウェアが消費するリソースを最適化できれば世界中にあるPCが貢献する度合いは大きいはずです。その他にも、一律JVMのオーバヘッドが消費するリソースを削減できれば結果は評価できるものになるでしょう。

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